キミは嘘つき蝶々
しーんと教室が静まり返った。

俺はなぜか真っ赤な顔でパクパク口を動かしているパーマから手を離すと、机の横にかけた鞄を持ち上げた。

「俺、具合悪いんで早退します」

それだけ告げると

「へ?
あ、ああ
気をつけて」

パーマはすっとんきょうな声をあげてこくこく頷いた。

そのままパーマのわきをすり抜け、教室を出る。

足は自然と目的に向かって歩き出していた。

悶々としても仕方ない。

森口の家に行こう。

そう決めて学校を出た俺は、その後教室が

「ええぇ!
ヒロって小池先生が好きだったの!?」

「うそお!ショック!」

「ゲイの上に相手が小池?
そんなのイヤああ!」

「いや、せ、先生はノーマルだからな?
よ、嫁もいるし、片桐の思いには……」

「まあ
小池ってばなに赤くなってんのよ!恐ろしい子!
ヒロはこのヤスのものよ!ラーメンみたいな頭のクセに、あたしたちの間に割り込まないで頂戴!」

「ええぇ!やっぱりヒロはゲイなの!?」

「うるさいヤス!ハゲ!
ヒロは美佳のものなんだから!
誰にも渡さないんだからあああ!」

間違った認識のもと大騒ぎになったことなど、


…………知るよしもなかった。







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