キミは嘘つき蝶々
相変わらずデカい森口の家を見上げながら、俺は頭を悩ませていた。
勢いでここまで来たものの。
どうやって森口に会うか全く考えていなかった。
正攻法で行ったところで、婆さんに見つかれば即アウトだ。
会えないまま追い返されるのは目に見えている。
だったら忍び込むしかないのだが、ピッチリと閉まった門と高い塀が、嘲笑うようにそれを阻んでいた。
何度か家の周囲をぐるぐる回ってみたが、到底入り込む隙間などない。
「はぁ」
ため息をついて座り込んだ。
ガシガシと頭をかいて手首につけた太目の腕時計を見る。
16時30分
「もう、帰るかな」
独り言を言いながら立ち上がる。
どうせ明日には会えるんだ。
今日のことは明日聞けばいい。
無理矢理にそう自分を納得させながら、うつむいて歩き出した俺は、
「あ!」
突然聞こえた高い声に顔をあげた。
「片桐、ヒロ先輩」
目の前に立っていた女の子が赤い顔で呟くように俺の名前を呼んだ。
赤い着物に、艶やかな黒髪。
ふんわりした印象の色白の美少女。
「……ああ」
確かこの子は、この間ムッツリと一緒にいた子だ。
ナツ、だかアキだかそんな感じの名前の。
勢いでここまで来たものの。
どうやって森口に会うか全く考えていなかった。
正攻法で行ったところで、婆さんに見つかれば即アウトだ。
会えないまま追い返されるのは目に見えている。
だったら忍び込むしかないのだが、ピッチリと閉まった門と高い塀が、嘲笑うようにそれを阻んでいた。
何度か家の周囲をぐるぐる回ってみたが、到底入り込む隙間などない。
「はぁ」
ため息をついて座り込んだ。
ガシガシと頭をかいて手首につけた太目の腕時計を見る。
16時30分
「もう、帰るかな」
独り言を言いながら立ち上がる。
どうせ明日には会えるんだ。
今日のことは明日聞けばいい。
無理矢理にそう自分を納得させながら、うつむいて歩き出した俺は、
「あ!」
突然聞こえた高い声に顔をあげた。
「片桐、ヒロ先輩」
目の前に立っていた女の子が赤い顔で呟くように俺の名前を呼んだ。
赤い着物に、艶やかな黒髪。
ふんわりした印象の色白の美少女。
「……ああ」
確かこの子は、この間ムッツリと一緒にいた子だ。
ナツ、だかアキだかそんな感じの名前の。