キミは嘘つき蝶々
くそぅ、あのドS女め!

この俺様の端正な顔を傷物にしやがるとは。

いい度胸してんじゃねーか!

いつか絶対後悔させてやるからな。

覚えていやがれ、こんちくしょー!

とむなしく心の中で叫びながら、俺はどかっと畳にあぐらをかいた。

しかし。

キョロキョと周りを見渡す。

暗いとは言え、夕方の薄闇。

目はすぐに慣れて、部屋の様子をはっきりと映し出した。

モダン和風なインテリアを配置した、シックな内装。

甘い香り。

所々に置かれた女の子ものの小物。

小難しそうなタイトルの並ぶ本棚。

極めつけは、壁にかけられた見慣れた制服。


……間違いない。


ここは森口の部屋だ。


そう自覚した途端、心臓が早鐘のように鳴り出した。

お、落ち着け。俺。

森口の部屋だからなんだと言うのだ。

べ、べつに殺風景な可愛いげのない部屋じゃねーか。

なんで、ちょっとやましいことしてる気持ちにならなきゃいけないんだ。




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