キミは嘘つき蝶々
「……片桐くんは……誰にでも、こうゆうことするんですか?」

「はあ?」

思わず語尾が上がった。
やっぱりコイツは馬鹿だ。

人の気持ちがわからないにもほどがある。

「誰にでもやるわけないだろ!
俺は色魔か!」

不機嫌に怒鳴り付けると、森口は少しびくっとして、ためらうように続けた。

「じゃあ、どうして………片桐くんは私に……」

「……本当、鈍い女。
いい加減分かれよ」

低く呟いて、ギュッと森口を抱きしめた。

今まで、散々、分かりやすい行動をとっては来たけど。

いざ、気持ちを言葉にするとなると抵抗がある。

言ったら負けみたいな、ムダなプライドとか。

もし、断られたらって、不安とか。

でもこの鈍感眼鏡には、態度で示すだけじゃ、一生伝わらない。

「……森口」

ゆっくり身体を離して、正面から彼女を見た。

考えてみれば、

自分から告白するのは、人生初かもしれない。

「……俺は」

声が震える。

なんかむちゃくちゃカッコ悪いけど、今さらやめるワケにもいかない。

男は度胸だ。

「俺は、お前のことが好…………」

「ダメです!!」





< 89 / 130 >

この作品をシェア

pagetop