恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
お弁当を紙袋に入れて。
よし、行こう!
鍵はいつも入口に2つかけてある。
1つは翡翠が持って行ったけど、もう1つはいつもの場所にあった。
鍵も閉めてウキウキでマンションを出た。
何回も車で通って道も覚えてるし大丈夫。
ほとんどまっすぐで二回しか曲がらないはず。
覚えている目印を頼りにどんどん進んで行く。
ここを曲がったら……
あ、あれだ。見えた。
あとは会社までまっすぐ行くだけ。
やっぱりわたしやればできるじゃ…………!!
な、なに?!
いきなり腕を掴まれ、引っ張られ、横から倒れた。
「……〜ッイタ」
どうやらわたしは路地裏に引き込まられたみたいだ。
絶対お弁当ぐしゃぐしゃになった。
と思って手を見るけど、お弁当がない。
もしかして今ので落とした?
「おい」
上を見上げると、スーツを着た男の人。
「お前…"ユリ"か?」
なんでわたしの名前……
「黙ってるってこたぁ、あたりだな」