恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】



「!ユリ!!」





―――トン



あれ痛くない。




「危ねぇ。
ユリ、大丈夫か?!」



この声………
上を見上げると、いつも冷静なのに今日はものすごく慌てた様子の翡翠。

翡翠は慌てながらも手首に巻かれたベルトを外してくれた。





「ひ…すい」





瞳から流れ出す涙。
恐怖からの涙ではなくて、安心からの涙。





「ひすい……ひすい……」


「……ユリ」



パシ―――



わたしの頬に触れようとした翡翠の手を拒否してしまった。




「ご、ごめんなさい……」


顔を合わせられなくて、翡翠に背を向けた。



わかってる。
翡翠はさっきの男みたいなことしないって。
だけど、やっぱりまだ怖い………



それに、わたしは………







汚れてる








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