恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
傍にいてほしい*翡翠side*
「ユリ!おい!!」
ユリは俺に全ての体重を預け、意識を手放した。
そのユリを抱きしめ、支える。
「翡翠、どうした?」
一緒に来ていた木村と津田。
木村輝秋-キムラテルアキ-
津田颯-ツダハヤテ-
こいつらは中学からの付き合いだ。
だけど、今だにユリの前では敬語を使ってくるこいつら。
そろそろユリにも言えばいいのに。
それよりも今は。
「多分、寝てる」
「そうか。
じゃあ車そこまで移動させる」
輝秋は走ってこの薄暗いビルとビルの間を出て行った。
「大丈夫……なのか?」
ほとんど無関心の颯も、今回ばかりは心配している。
「いや……大丈夫とは言えない。
何されたかわからないからな……」