恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】



走っても走っても見つからない。



何処に行った?


車じゃなければまだそんなに遠くまで行ってないはず。


最近、よくユリは寝ている時俺の服を掴んできた。

俺が抱きしめる力を強めると、強張った身体の力がフッと抜ける。


怖い夢でも見たんだろうかと思っていた。



寝ている時だけ甘えてくるユリが愛しくて堪らない。

普段ももう少し頼ってもいいのに、弱みを見せない。


ユリの全てを守りたくても、守りきれていない自分に腹が立つ。


今日だってそうだ。




俺が弁当を忘れたばっかりに、こうなってしまった。


ごめん、ユリ………




―――RRRRR


輝秋からだ。






< 128 / 431 >

この作品をシェア

pagetop