恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
走っても走っても見つからない。
何処に行った?
車じゃなければまだそんなに遠くまで行ってないはず。
最近、よくユリは寝ている時俺の服を掴んできた。
俺が抱きしめる力を強めると、強張った身体の力がフッと抜ける。
怖い夢でも見たんだろうかと思っていた。
寝ている時だけ甘えてくるユリが愛しくて堪らない。
普段ももう少し頼ってもいいのに、弱みを見せない。
ユリの全てを守りたくても、守りきれていない自分に腹が立つ。
今日だってそうだ。
俺が弁当を忘れたばっかりに、こうなってしまった。
ごめん、ユリ………
―――RRRRR
輝秋からだ。