恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
寝室へ入るとユリはベッドの上で布団に包(くる)まっていた。
「ユリ」
声を掛けても出てこない。
そっと布団越しにユリに触れた。
すると、バッと布団から出てきたユリは俺にしがみついた。
今日はやけに甘えてくるな。
「ひすい……木村さん達は?」
「今日はもう帰ったよ」
そう言いながら、ユリを抱きしめた。
「ユリ、今日何があったのか……聞いていいか?」
「……うん」
そして、ぽつりぽつりと話しはじめた。
「今日……お昼になって翡翠がお弁当忘れてるのに気づいたの……
お弁当、持って行くついでに、一人でも大丈夫だって……わかってもらいたくて、歩いて会社に行った……そしたら………」
カタカタと震え出すユリ。俺はユリの背中を撫でた。