恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
「そしたらね………いきなり腕引っ張られて……連れて行かれそうになって、もしかしてって思って聞いたら、岡宮組の人だったから走って逃げたけど、また、捕まって………」
そこまで言って、言葉に詰まるユリ。
何かあったんだな……
「ユリ……大丈夫だ。
言ってみろ」
ギュッと抱きしめそう言った。
「男に……胸とか身体触られて、気持ち悪かった………怖かった………」
思い出したのか、また泣き出したユリ。
「ユリ…ごめん……」
「ど……うして、翡翠が謝るの……?」
「俺が早く気づいとけば、ユリを会社に連れて行けばこんな事にはならなかった。
弁当を忘れたせいで、こんなことになった」
「翡翠は何も悪くない!
だって助けに来てくれたもん………」
ユリは顔を上げ、俺の目を見て言う。
「それに、今まで岡宮組の人達から守るために、わたしと一緒に居てくれた……、一人で行くなって言ったんでしょ?」