恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
女の人の名前は、確か"百瀬亜由美-モモセアユミ-"さん。
翡翠と歳が近くて、理恵さんとは違った綺麗さを持った人。
この人も翡翠のことが好きなのかな。
かと言って、わたしは何も出来ない。
翡翠には避けられてるし、わたしみたいなちんちくりんは相手にされないと思うし。
亜由美さんは最初は週に2、3回くるだけだったのに今は毎日来るようになっていた。
翡翠も亜由美さんと話す時、楽しそうだった。
そして、亜由美さんはあの勝ち誇ったような顔でわたしを見る。
そんな二人を見るのが嫌で、亜由美さんにあの顔で見られるのが嫌で、わたしは会社に行かなくなった。
翡翠はどうしたのか聞いてくるけど、ただ気分が悪いだけだと言うと深くは追求してこなかった。
今日も家に残ると言ったわたしに、翡翠は"今日は帰りが遅いから先に寝とけ"と言って頭を撫でて出て行った。
玄関が閉まるバタンという音が寂しさを増やし、悲しく耳に残った。