恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
ユリが嫌がってんのは、見ただけでわかる。
すぐに二人に近寄って男の腕を掴んだ。
「翡翠!」
男は握る力を少し強め睨んだだけで、走って逃げた。
ユリに触ってんじゃねぇよ。
クソガキが。
ユリを見ると、申し訳なさそうな顔をしていた。
ユリに迷惑かけられるのは、俺にとっては嬉しいことなのに。
もっと頼れよ。
そう思いながらユリの頭を撫で、会計を済ませレストランを出た。
それからまた手を繋いで、水族館を回った。
外に出たとき、聞き覚えのある声が聞こえた。
声のする方を見ると、百瀬がいた。
休みの時まで会いたくねぇってのに。
そんな俺の気持ちも知らないで百瀬は話し掛けてくる。
百瀬が昨日の話をすると、繋いでいたユリの手に力が入った。
どうしたかと思って聞くと、またなんでもない。と言うユリ。
目が泳いでる……