恋する＊spring～春をうられたわたし～【完結】

翡翠に視線を向けると、翡翠もわたしに視線を向けていた。


挨拶しろってこと？



「翡翠さんと、お付き合いさせていただいてます。
嘉春珠莉と言います」


それだけ言ってお辞儀をした。



「嘉春珠莉さんですか。
いやー、黒崎社長には家の娘をと思っていたんですけどね〜。
残念だ。
では、また後でお話しましょう」




そう言って、田沼さんは去って行った。




「久しぶりに来ると、疲れるな」



隣でボソッと言った翡翠。

「お前はそれでいい」


翡翠を見上げると言われた。
よかった。
一先ず安心………
だけどやっぱり傷つく。




「あのクソ親父の言ったことなんか気にすんな。
あいつ、タヌキみたいだけど、娘もタヌキみたいだ。
誰がそんなやつと付き合うかよ」



翡翠………
それ言い過ぎじゃ………


そう思うけど。


「あはは」