恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
やっぱり怒ってる………
エレベーターに乗っても、翡翠は無言。わたしも怖くて話し掛けれなかった。
時々握られてる手に力が入り、それがさらに翡翠の怒りを感じさせた。
エレベーターを降りて翡翠はまた歩き出す。
次に立ち止まったのは、ドアの前。
翡翠はカードキーを差し込み、ドアを開けた。
「珠莉………」
部屋に入った瞬間、抱きしめられた。
「珠莉……ごめん……」
翡翠は謝ってきた。
助けてくれたのに。
なんで謝るの?
「翡翠は悪くない!
わたしが……迷ったりしなければ、ちゃんと気をつけてれば…………」
翡翠は悪くないよ………
「だけど、お前は泣いてた……
それじゃあ、助けられたけど、助けられてねぇんだよ」
「翡翠………助けに来てくれただけで十分だよ……
だけど……わたし…わたし!」
「何された?」
体を離され、優しい瞳で聞かれた。
いつもの翡翠だ……