恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
逃げたい!
のに動けない………
「こ、来ないで!」
「珠莉!!」
「ユリちゃん!」
「遅いですよ」
慌てて傍に来ようとする翡翠と理恵さんに男の人は言った。
わたしは結局逃げられずに男の人の胸へと抱き寄せられた。
「離して!!」
昨日からこの人なんなの?
「珠莉を離せ………」
「離せと言われて誰が離しますか?
それに、そんな怖い顔で言っても無駄ですよ」
翡翠が睨んでも効かないらしい。
「お前……何がしたい?」
「僕はただある人に頼まれたんですよ。
この娘をどうにかしてって」
「まさか……」
翡翠は心当たりがあるのか、顔を歪ませた。
「最初は遊びのつもりだったけど、この娘可愛いし……おもしろいし、本気になっちゃった」