恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
いない………
ここも………
いない。
なんでこんなに広いんだよ!
「クソッ………」
ドン!
壁を殴り溢れる苛立ちを少しだけ発散。
見つからない………
まさか男に………
そうなっていたら最悪だ。
やっと笑えるようになったのに。
俺を信頼してくれるようになったのに。
クソッ………珠莉!
だんだん人影が無くなってきた。
戻るか?
いや、珠莉のことだ。
こっちに来てる可能性もある。
「なんなのよ!
もう十分でしょ!!」
先に進むと聞こえてきた、叫び声。
この声は珠莉だ。
見つけた………
けど、誰といる………?
そう思って声のする方に向かった。
角を曲がって見えた珠莉の姿…………と一人の男。
男は珠莉の首筋に顔を埋めていた。