恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
「珠莉!!」
珠莉が泣いていることに気がつき、怒りが増す。
急いで二人に近づき、男を珠莉から離し、男の胸倉を掴んで睨みつけた。
こいつ………百瀬聖真………
「お前、珠莉に何をした……」
自分の声がいつもより数倍低いのがわかった。
「さあ?その娘に聞いて下さい」
返ってきた言葉にいらつき、聖真を殴った。
「ひ、翡翠!ダメ!」
もう一回殴ろうとしたが珠莉に腕を掴まれ止められた。
「いつも冷静な黒崎ホールディングズの社長がこんなに怒るなんて。
ますますおもしろいね、君」
珠莉を見ながら笑って言った。
「お前………何がしたい」
「その娘、気に入っちゃいました。
かわいいし、いい匂いしますよね?」
こいつも気づいた………
珠莉から放たれる甘い香りに………
無意識に睨む。
「そんな怖い顔すると、その娘が怖がりますよ」
「うるせぇ………
お前、もう珠莉に近付くんじゃねぇ……」
「はいはい。
わかりましたよ」
そう答えるけど、また会いそうな気がする。