恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
「珠莉………」
部屋に入った瞬間、珠莉を抱きしめた。
「珠莉……ごめん……」
遅れた……
間に合わなかった……
「翡翠は悪くない!
わたしが……迷ったりしなければ、ちゃんと気をつけてれば…………」
「だけど、お前は泣いてた……
それじゃあ、助けられたけど、助けられてねぇんだよ」
守りたいのに、守れていない自分に苛立つ。
「翡翠………助けに来てくれただけで十分だよ……
だけど……わたし…わたし!」
「何された?」
体を離し珠莉の顔を見て聞いた。
「キ、キス………されッんん……」
珠莉が言い終わる前にキスをした。
「それだけか?」
「うん……だけど………」
「だけど、なんだ?」
「わたし………身体はいろんな人に触られてきた………
だけど……キスは……キスだけは翡翠だけだった………翡翠しか知らなかった……
なのに……」
泣きじゃくりながらそう言った珠莉が愛しくて堪らない。
胸が裂けるほどに愛しい………