恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
昨日の事で…………
そんなことは………ないはず……
例え同じ屋根の下にいたとしても、どこにいるのか把握してないと………傍にいないと、ダメなんだ。
それくらい珠莉に溺れてる………
「珠莉!………珠莉!」
どこにいる?
浴室の方へ行くとバタバタと水を蹴るような音が聞こえてきた。
「珠莉!」
「はぁい」
俺の気も知らずに呑気な返事が返ってきた。
ガラッ
「えっ?ちょっと……」
何も言わずに浴室の扉を開け、入って行くと俺に背を向け、体を丸めた珠莉の腹部に手を回し、浴槽から引き上げ抱きしめた。
「ひ、翡翠?!濡れるよ!」
そんなの気にしねぇ。
それより………
「ビビらせんな………
居なくなったかと……」
「わたし、どこにも行かないよ?」
「あぁ、ごめん………
俺のこと嫌になったのかと……」
「なんで?」
不思議そうな瞳で聞かれた。
「昨日、優しくできなかったし……」