恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
会社に着いて、仕事をするが身が入らない。
連絡先を書いておいたのに一向に着信音が聞こえない。
何度も携帯を確認する。
まだ起きないのか?
勝手に出て行ってないよな?
こんなことなら、社長室にベッドでも置くか?
昼を過ぎた頃、やっと携帯が鳴った。
出てみると、珠莉で安心した。
会社に来るか聞くと、"行く"と答えた珠莉に、"無理するな"と言ったが、"会いたい"と言われた。
それがまた俺の胸を締め付ける。
嫌な締め付けじゃなく、嬉しい締め付け。
俺は"迎えに行く"と言って、少し会話をしてから電話を切った。
それから昼食をさっさと済ませ、家に車を走らせた。
ガチャ―――
家に入り靴を脱ごうとしていると、バタバタと音が近づいてきた。
「翡翠!」
「うわっ!!」
名前を呼ばれ飛び付かれて、バランスを崩しそうになったけど、壁に手をつき倒れずにすんだ。
「珠莉………どうした?」
飛びついてきた珠莉を抱きしめ聞いた。
「わからない………
でも、翡翠に会いたくて………」
「珠莉………」
「んッ……」
顎を上げ、濃厚なキスをした。
「………んッ……んん、はぁ」
「止まんなくなりそう」
唇を離し、抱きしめた。