恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
そして、またため息。
「そんなことで危ない橋を渡るな!」
「ごめんなさい……」
「まあまあ。
翡翠も本当は嬉しいくせに」
そう言ったのは、木村さんだった。
え?
翡翠、怒ってるよ?
嬉しそうには見えないよ。
「うるせぇ……」
やっぱり怒ってるよ。
「翡翠ごめんね……
わたしのことは許さなくていいから……でも、ほんとに亜由美さんは悪くないの。
だから、亜由美さんには怒らないで」
「別にもう怒ってねぇよ」
そう言った翡翠はいつもの翡翠で、頭を優しく撫でてくれた。
「黒崎社長」
聖真さん………
「この度は大変、ご迷惑おかけしました」
聖真さんは頭を下げた。
「別にお前は何も関わってねぇだろ」
「ですが、父さんが何をしていたのか気が付かなかった。
父さんを止めるべきなのは俺だったのに………」