恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
またそれ?
おいしくないのに………
「とくにその………唇とかね?」
ぎゃー!近づいてきた。
食べられる!
「珠莉……?」
名前を呼ばれて、ぴくりっと反応した。
「ひ、翡翠………」
ソファーの背もたれのせいで姿は見えない。
だけど、声でわかる。
「ちぇ……邪魔が入った」
そう言って、聖真さんはやっと離してくれた。
「翡翠!」
「珠莉……」
わたしは翡翠に抱き着いた。
「お前……また………」
「何もしてませんよ」
「いい加減にしろ………」
「ほんとに何もしてませんから」
「じゃあなんで泣いてんだよ!」
「泣かせたけど、手は出してません」
「珠莉………本当か?」
「うん」