恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
珠莉が俺に背を向けて寝るようになってから、珠莉は疲れたような顔をするようになっていった。
「ちゃんと寝てるか?」
「大丈夫」
聞いても大丈夫と言うだけで何も言わない。
そして珠莉はある日泣いていた。
俺に気づかれないように声を殺していたが、小刻みに揺れる肩とベッドが泣いていることを教えてくれた。
だけど、俺は抱きしめてあげることが出来なかった。
何度か腕を伸ばしたけど、珠莉の背中がそれを拒否しているような気がして………
あと少しで珠莉の誕生日がくる。
それまでには、珠莉と話さなきゃな。
そう思っていたけど、結局話せず、誕生日の前日になってしまった。
こんなことになるなら、もっと早く…………
ベッドに横たわる珠莉の手をぎゅっと握りしめた。