恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
「いいえ、これが私達の仕事ですので」
木村さんが顔に似合わず、敬語喋ってるよ。
なんか違和感。
しかも、この目の前の男はそんなに偉いのか?
「ユリさん、これ荷物です」
木村さんに名前を呼ばれ、荷物を渡された。
ユリ"さん"、なんて呼び方も、敬語も使わなくていいのに。
わたしは別に偉いわけじゃないし。
「どうかされましたか?」
わたしがじっと見てたから、木村が聞いてきた。
「べ、別に………なにもないです。
荷物、ありがとうございます」
見た目が怖くて何も言えない。
「そうですか。
では、失礼します」
わたしに簡単な返事を返したあと、男の方に体を向け詫びると、二人で部屋を出て行った。