恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
「さっきも言っただろ?
傍にいろって」
確かに言われたけど……
それってさすがに、一緒に住むって事じゃないよね。
「あと、家事をして貰いたいんだ」
だからさっき、料理できるか聞かれたのか。
料理なら別にいいけど。
今更反抗する気にもなれないし。
横を見ると、翡翠の運転している様子はとてもかっこよかった。
というか、何をやっても様になる。
今、こんなカッコイイ人と一緒にいると思うと恥ずかしくて、それをごまかすために、話し掛けた。
年齢とか、仕事の事とか。
翡翠の年齢は28歳らしい。
そのくせ、あの会社の社長だとか。
若いのにすごいなあ。
わたしにはとうてい無理な事だ。
「わたし達、昨日以外にどこかで会ったことある?」
昨日からずっと思ってた。
どこかで会った気がするって。
だけど翡翠は、
「さあ?」
と答えるだけだった。