恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】
最上階には、扉が一つしかなかった。
なんで?
翡翠はその扉の鍵を開けて、ドアノブを回し、中に一回入るとまた出てきた。
そして、わたしの手を引き、また中に入った。
玄関はマンションの玄関とは思えないほど広い。
廊下も長くてドアもたくさんある。
玄関に突っ立ってると、すでに靴を脱いぎ奥に進もうとしている翡翠と目が合った。
「はあ……靴も脱げないのか?
俺が脱がしてやろうか?」
「!
けっこうです!!」
初めてきた家なのに、そんな図々しくく、上がれるわけないじゃん。
そう思いながらもささっと靴を脱いで、翡翠の後に続いた。