うすのろ馬鹿マヌケ
 しかし雲雀はすぐに二つ返事を返すわけにはいかなかった。

この王冠型のネックレスはそれなりの値段もしたし、何より気に入っていたからだ。
それをこんなくだらないゲームのようなものに使われるのは嫌である。


「先輩・・・これあたしのですし、結構高かったんで・・・。」


「それが嫌なら俺のパシリのままやな。」


隼は何食わぬ顔でそう言った。
雲雀が涙目で訴えてもお構いなしと言った感じだ。

雲雀は渋々その提案をのむことにした。

というか、のまざるを得ないといった状況なのだが・・・。


「わかりましたよぉ・・・。
じゃあこのネックレスを持ってる人に命令権があるってことでいいですね?
もし無くしたら、あたし孫の代まで先輩のこと呪いますからね。」


「言うてろ。」


「じゃあ、最初の命令権はあたしにあるってことでいいですか?」


「あ?」


隼はジロリと雲雀を睨んだ。
その視線に耐え切れなくなり、雲雀は肩をすくめた。

自分は悪いことなど一つも言っていないはずなのに、何故このように睨まれなければならないのか。

雲雀には納得いかなかった。


「だってあたし先輩の言う事いっぱい聞きましたよ?」


「それとこれとは別やろ。正々堂々ジャンケンで決めたらええ。」


雲雀と隼は拳を出し合った。

深い深呼吸をする。
沈黙が二人を包んだ。




「・・・最初はグー!ジャンケンポン!!!」




結果は・・・。




「お前、ジャンケン弱いな。」



雲雀がグー、隼がパー。


雲雀の完敗だった。




「ちゅうことで、最初の命令権は俺やな。」


隼は雲雀の手から王冠のネックレスを受け取った。
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