うすのろ馬鹿マヌケ
 隼の課題を済ませると、王冠は雲雀の手に渡った。
つまり命令権が雲雀へと移ったことになる。

けれど隼はそれについて何か言うでもなく、まして礼など言うはずも無く、ただ素っ気無く帰って行ってしまった。



翌日の終礼間近、不知火の声が教室に響いた。


「じゃあそろそろ作業やめろー。
全員席ついて。連絡事項言うぞー。」


生徒は慌しく片づけを始め着席をする。

雲雀も急いで席につく。


「検定の申し込みが明日までだ。
受ける奴は忘れずに申込み用紙と検定料持ってくること。

それから校外授業が来週の金曜。
忘れてて早退とか欠席するなよー。感想書かせるからな!

あと明日から本格的に授業始まってくからな。
実習時間は取るけど、遅れたくない奴は今日中に作図してくること!

あとは黄楊、この後俺のところに来るように。以上。」


雲雀は自分の耳を疑った。

何故自分だけ個別に呼ばれたのだろうか。
ただでさえ不知火桐一という人間は苦手だというのに・・・。


終礼が終わると、雲雀は嫌々ながらも前の教卓へ足を進めた。


「せんせぇ・・・何か用ですか・・・。」


そのあからさまな態度に不知火は眉間に皺を寄せた。


「随分と嫌そうな顔してんな。」


「べっ!別に嫌じゃありませんよ・・・。」


「まあいい。ちょっと研究室来い。」


仕方なく雲雀は不知火の後を追った。
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