うすのろ馬鹿マヌケ
 「目覚まし時計、増やしたら?」


昼食の時間、学食で食券の券売機に並びながら雲雀はそんなことを言われていた。

そう言ったのは雲雀の友人、海桐百合(トベラ ユリ)だった。

百合は一年の時に雲雀と同じクラスで、それ以来仲が良く学校以外でも会うことが多かった。
まだ二年になって間もない二人は、昼食を一緒に摂ろうと約束したのだった。

勿論誘ったのは雲雀だ。


「そんなお金無いもん。」


先程の問いかけに雲雀が答える。
目覚まし時計にお金をかけるなら、他のことに使ったほうがマシというものだ。

学生生活はそう楽なものではない。



「じゃあどうにかして起きるしか無いんじゃない?」


「そうなんだけど・・・。
昨日だってしっかり寝たんだよ?
別に夜遅くまで起きてた訳じゃ無いのに、そういう日に限って次の日寝坊しそうになるの。」


百合はため息をついた。

正直、雲雀が寝坊をしようが百合には助ける術が無い。


「あ、それより担任の先生誰だった?」


百合が突然話題を変えた。
雲雀は仕方なくそれに従う。


「・・・百合ちゃん誰だった?」


「私?七瀬先生だったけど。」


「いいなー!!!」


雲雀は大きな声でため息と一緒に吐き出すように言った。


「で、雲雀は誰?」


雲雀は小さな声で嫌々その人物の名前を言った。
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