うすのろ馬鹿マヌケ
 雲雀は机に突っ伏して今までにあった悲惨な出来事を思い返していた。

クラス替え、苦手な担任、遅刻(未遂)、仕舞いには見知らぬ男に“ブス”と睨みをきかせて言われた。


「もうやだ・・・。百合ちゃん、あたし何か悪いことした?」

「してないしてない。だからさっさとお昼食べな?」


雲雀はのろのろとスプーンを動かし、カレーライスを口に運んだ。


「でも私、あの人知ってるかも。」

「ほんと?」


百合は頷きながら遠目に見えるその男に視線をやった。
雲雀も同じ男を見る。


「確かいっこ上の人じゃない?
三年の安城隼(アジロ ジュン)っていったかな。結構有名じゃない?」


しかし雲雀はそんな名前すら聞いたことは無かった。


「喋り方、変だったよね?関西弁みたいな。」


百合は「さあ?」と首をかしげる。


「あ!」


雲雀は隼の隣に座る人間を見て驚いた。


「どうしたの?」

「あたし、あの人知ってるよ!隣に居る人!
学祭のショーでモデルやってたもん。」


百合は雲雀の目の先にいる人間を見た。

確かに頭は小さく、背も高く、足もかなり長い。
まさに“モデル体系”なその人物は、スタイルだけでなくルックスも良かった。


「名前、なんて言ったかな?なんか珍しい名前だったのに・・・。
フクダじゃなくて、フタバじゃなくて・・・。」


「フクダじゃ珍しくないじゃない。」


雲雀はずっと頭を悩ませていた。
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