嘘つきな彼女は、今日も嘘をつく。

隣のお嬢さん


「ねぇねぇ、今日は由乃ん家に行っても大丈夫〜?」

「今日?ああ、ダメなの。父様が医療関係の方を家に連れてくるから」

「ええ〜またぁ?」

「ごめんね。あ、じゃあその代わりに、ランチでもどう?」

「まじ!?うんうん!!行く行く〜」



俺は窓際の自分の席について、窓を眺める。

いや、正確には窓しか眺められない。

理由は俺の右側に座っている、古田由乃が原因だ。



「あ、でも〜…私、また無いやぁ…」

「ああ、それなら大丈夫。私が出すよ」

「本当!?ありがとー!じゃあさ、マキたちも誘って良い?」

「ええ」

「じゃあさ、じゃあさ!アユたちも誘って良い〜?」

「ええ」

「やった〜!まじで由乃だ〜いすき!一生大好きだよ!」

「ありがとう。私もよ」


俺は別に変な趣味があって、この女たちの会話を耳にしてるんじゃない。

ただ、こいつらの声が大きすぎるから耳にしてしまうだけだ。



……しかし、この会話…。

昨日も似たような会話を聞いたが、古田はバカとしか言いようがない。

金持ちかなんかしらんが、そのせいで利用されてるのにも気づかない、世間知らずのお嬢様なのだから。


< 2 / 21 >

この作品をシェア

pagetop