嘘つきな彼女は、今日も嘘をつく。
隣のお嬢さん
「ねぇねぇ、今日は由乃ん家に行っても大丈夫〜?」
「今日?ああ、ダメなの。父様が医療関係の方を家に連れてくるから」
「ええ〜またぁ?」
「ごめんね。あ、じゃあその代わりに、ランチでもどう?」
「まじ!?うんうん!!行く行く〜」
俺は窓際の自分の席について、窓を眺める。
いや、正確には窓しか眺められない。
理由は俺の右側に座っている、古田由乃が原因だ。
「あ、でも〜…私、また無いやぁ…」
「ああ、それなら大丈夫。私が出すよ」
「本当!?ありがとー!じゃあさ、マキたちも誘って良い?」
「ええ」
「じゃあさ、じゃあさ!アユたちも誘って良い〜?」
「ええ」
「やった〜!まじで由乃だ〜いすき!一生大好きだよ!」
「ありがとう。私もよ」
俺は別に変な趣味があって、この女たちの会話を耳にしてるんじゃない。
ただ、こいつらの声が大きすぎるから耳にしてしまうだけだ。
……しかし、この会話…。
昨日も似たような会話を聞いたが、古田はバカとしか言いようがない。
金持ちかなんかしらんが、そのせいで利用されてるのにも気づかない、世間知らずのお嬢様なのだから。