嘘つきな彼女は、今日も嘘をつく。
「あ」
だけど動きを俺は止めた。
「あ?どうかしたか、由衣」
「…………や、別になんでもねぇ」
不思議がる良介を無視して、俺はまた麺をすすった。
さっき動きを止めたのは、目にあの女が映ったから。
古田由乃が。
「…あ、もしかして古田由乃?」
無視する俺をニヤニヤ見ながら、良介はそう言った。
…………うざいくらい敏感だ。
「だからなんだよ」
「いやいや。こっちのセリフ。なんで古田由乃見て止まるわけっ?」
身を乗り出しながら聞く良介の整った顔面を、潰してやりてぇ。
「別に。また騙されてるわと思って」
「騙されてる?」
「金蔓(かねずる)だよ、古田は」
「ああ。そう言うことねぇ」
俺の言っている事をすぐに理解した良介は、うんうんと力強く頷く。