雨宿り
【其の二】
な、なんやねん。
せっかくのデートやのに。
あ~
俺 阿呆や。
何処までヤキモチ妬くねん。
そやけど…
美桜が、あんな男と楽しそうに話してるん見たら…
アイツは単なるナンパ男やんか。
たまたま中学の先輩やったからいうてもナンパ男に変わりない。
美桜も、もうちょっと自覚持たんとあかん。
自分がナンパされる事は100㌫ないと思い込んどる。
どうしたら、自分は可愛いんやって 男の目を引くんやって分かるんやろ。
俺がいくら可愛い綺麗言うても 『惚れた欲目あばたもえくぼ』と言い張る。
あの思い込みは何なんやろ。
お姉さん二人が、パッと目を引く美人さんやからかな?
一番上の薔子さんは、幼稚園の先生してるだけあって笑顔が優しいふんわり美人さん。
二番目の桃香さんは、はっきりした顔立ちの今時の豪華な美人さん。
美桜は、そんな二人を見て育ってるから自分は美人やないと頑なまでに思い 込んでる。
美桜は、見た目は頭が良さそうでツンとしたお澄まし美人やけど…ほんとは明るうて優しいし、あの笑顔なんか飛び切り可愛いんや。
あの、とぼけた性格もめっちゃ可愛い。
二人のお姉さんも、めっちゃ気さくで面白いし…三人共似てるんやけど。
美桜はあの二人を足して二で割ったような、ええとこだけ集めたような感じなんや…けど本人はガンとしてお姉さんらみたいに綺麗やないと譲らへん。
ある意味シスターコンプレックスなんやろな。
『お姉ちゃんが絶対』って信じてる。