雨宿り
【其の四(番外編)】
「なぁ、桃」
「何?お姉ちゃん」
ここは薔子姉の部屋。
美桜の部屋を出て、何故かどっと疲れが出て二人でチューハイなんか飲んでいる。
「美桜…マジやんな」
「絶対マジ!あの子は子どもの時から自分は可愛いない、愛想ない、性格暗 いと思い込んでる」
「おかしな話しやで、あの性格のどこが暗いのん?あれで暗かったら世の中の半数以上は暗い言う事になるで」
確かに。
「ありゃ、擦り込みやな」
「擦り込み?」
誰に擦り込まれたん。
…えっ?
薔子姉の視線が私に!
「わ、私 、関係ないよ」
手をブンブン振って否定する。
「それが、あんたに関係あんねん」
へっ、私に?
「私、美桜に暗いなんて言うた覚えないで」
嘘でもよう言わんわ。
「ちゃうがな、子どもの頃、美桜が幼稚園やったから私らは小学生やったな」
「なんかあった?」
「あんたは昔から一切物おじせえへん、どっちかいうたら阿呆がつくぐらいの明るさやったから幼い美桜には口挟む暇なかったんや」
阿呆がつく明るさって…それ褒め言葉やないな。
「お母さんの友達が来てた時に、あんたはいつものように喋りまくり愛想ふりまき、そうなると横にいる美桜は必然的に喋れへんわな」