ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
けれど今、少女はブツブツと何かを唱えているだけだ。

もしかしたら、彼女の話す言語を知っていても聞き取れないのではないか、と疑うほどの不確かなそれ。


その顔には表情もなく、生気もない。

それどころか、既に恐怖すら窺えないのは何故だ。



胸に引っ掛かったものに思考を巡らす龍一などお構いなしに、一行は道路を横断し、トレーラーへと向かう。


道路からだと見上げる位置にある山側のそこは、落ち葉が絨毯のように敷き詰められており、歩を進める度、パリッとした音と共にふわりとした柔らかさを足裏に感じた。



先頭を歩いていた蜂須賀は、脇目も振らず中央のトレーラーを目指す。


入口前に辿り着くなり、躊躇うことなくその鉄扉を開けた。



中には3人の先客。


やはりまだ仲間が居たか。

予想通りではあるが、龍一は益々沈鬱になる。


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