ロシアンルーレットⅢ【ｱｸｼｮﾝｺﾒﾃﾞｨｰ】

「へっ、明日いちんちもちゃあいいんだよ。その後は、どのみち始末される」

仁科は強がりにも似た失笑をもらして言う。


「『明日いちんち』もつといいな」

言って、龍一は冷笑を返した。



チッ――


仁科は苦々しく舌を鳴らすと、中央のトレーラーへ向かう。


荒々しくその扉を開けると、「おい、水を寄越せ」と中の者に大声で怒鳴りつけた。



５００mlのペッドボトルを手にして戻って来ると、それをしゃがんだままの龍一に差し出した。


龍一はその蓋を素早く開けると、片腕で少女の半身を抱き上げた。


ペッドボトルを少女の口につけ、そっと流し込めば、透明な液体は全て、ダラダラと口の端から流れ落ちた。



「おい、しっかりしろ」

伝わるはずもない日本語で呼びかけながら龍一は、少女を抱きかかえた腕を小刻みに震わせ、その身体を揺する。


が、薄く開かれた目の奥の瞳は、酷くうつろで視点も定まらない。