ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「そうか。だが、彼女を死なせたら金は入らないんだろ? 金が手に入らなけりゃ、俺を待っているのは確実な『死』だ。

少しでも『生』の可能性がある方に俺は賭けるしかない。それが命懸けだとしても、だ」

抑揚なく答える龍一に、蜂須賀は訝しげに眉をひそめた。



そして――

ゆったりとした歩みで龍一との距離を詰める。



龍一を真っ直ぐ見詰めて妖しい笑みを浮かべた後、蜂須賀はそっと耳元に顔を寄せる。


「お前がどんな爆弾抱えてるか知らねぇがなぁ。悪いが俺は、お前を信用しちゃいねぇ。お人よしの漆原さんと一緒にすんなよ」

掠れた声が龍一の耳を撫でた。


< 134 / 304 >

この作品をシェア

pagetop