ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
龍一は微動だにしなかった。

瞬き一つせず、ジッと蜂須賀を睨み付けている。



「情報ねぇと有意義に動けねぇってんなら、てめぇに用はねぇんだよ。さっさと死ねや」

嘲笑まじりに言い、蜂須賀は乾いた音を鳴らしてセイフティレバーを引いた。



「殺れよ。無駄な労働するぐらいなら、今ここで死んだ方がよっぽどマシだ」

龍一は表情を微塵も変えず、涼しげに返す。



暫しの沈黙。



二人の呼吸音のみが空気を震わす。



心中の探り合い。

目を反らした方が敗北するかのように、交わり続ける二つの鋭い視線。



やがて――


「あの女(アマ)を研究所へ連れて行き、血清を作らせる」

蜂須賀が折れた。


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