ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「『けっせい』……」

龍一が自分自身確かめるように、蜂須賀が口にした単語を繰り返す。



「ああ、そうだ。感染してもそれを体内に注入すりゃあ中和させてくれんだよ。『もしも』、ウィルスがバラ撒かれたら――

誰もが欲しいよなぁ?」

蜂須賀は気味の悪い笑みを浮かべ、その美しい顔を歪ませた。



「それを売るのか?」


「ま、そういうこった。一生かかっても使いきれないほどの大枚が舞い込んでくる、間違いねぇ」

蜂須賀はそう言って、ケタケタと笑い声を上げた。



テロではなかった。

だとしたら事は尚更厄介だ。



恐らく、売却ルートは既に確保してあるのだろう。ということは、多くの組織が絡んでいることになる。


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