ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
龍一は苦い感情を無理やりに押し殺し、平静を装って言った。

「彼女の身体はかなり衰弱している。検体採取にも耐えられるかどうか……もう少し回復するのを待った方がいいんじゃないか?」


少しでも時間稼ぎになれば、という苦肉の策だ。



「そんな時間はねぇ。ファイルは流出したし、仲間が一人ブタ箱だ。あの女(アマ)の身体がボロボロになろうが、そんなもん知ったこっちゃねぇんだよ。どうせ消される運命だ」

蜂須賀は言いながら少女にネットリとした卑猥な視線を注ぎ、続けた。



「お前、生きてるうちにやっとくか? 幸いなことに性感染はしねぇらしいからな。死ぬ前にせめて、女の悦びを教えててやれよ」


愉しげに肩を揺らして笑う蜂須賀に、龍一は吐き気すら覚える。


が、それを噛み殺そうとゴクリと喉を鳴らした。


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