ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
龍一の乱れた感情を見透かしたように、蜂須賀は満足げに微笑みながら、ゆっくりと歩み寄る。


吐く息が触れそうなほど距離を詰めると立ち止まり、小さく口を開いた。



そして、勿体つけるかのように、ほんの数秒間をとってから、掠れた声で囁いた。



「犯せ」



龍一は動揺を押さえ込み、表情変えずに蜂須賀の目の奥を凝視する。

が、その胸の内は、少しも見えてこない。



「言ったはずだ、俺は無駄死にはしない」


「性感染はしねぇっつってんだろーが」


蜂須賀は嘲るように笑った。



「だったらお前がやればいいだろ?」


「そんなガキ相手に勃たねぇよ」


蜂須賀は苛立たしげに吐き捨てた。


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