ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「みゆっち……。てか、その腹……」


立ち上がったみゆっちの腹部は、まるで風船みたいに膨らんでいる。遠目でも一目瞭然なほど、デカい。



「うん。来月なの」


その腹に愛しげな視線を落とし、右手でさすりながらみゆっちは言う。



来月って――

何が?



いや、アレしかねぇか。最愛の兄貴の子どもが、来月生まれるんだ。



まじか。こんなの有りかよ?

兄貴に死亡フラグ、立っちゃったし……。



幸せそうに目を細めるみゆっちは、多分、まだ何も知らない。



「あんたが呼んだのか?」


窪田に視線を移して問えば、「ああ」と悪びれることなくシレッと答えるから、思わず舌を鳴らした。


< 194 / 304 >

この作品をシェア

pagetop