ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「ろくに仕事もしねぇで、余計なことばっかしやがって」


俺が憎まれ口を叩いても、窪田は表情一つ変えない。入口入ったところで足を止めてしまった俺に、「まあ、こっち来て座れよ」と穏やかに微笑んだ。



窪田は兄貴のこと、何も知らねぇのか? そんな訳ねぇよな? 連絡行ってるはずだよな?



言われた通り奥へと大股で進み、赤城課長の椅子にゆったりと腰掛けている窪田の傍らに立った。そうして侮蔑を込めて見下げれば、窪田は平然と見上げ返す。



「よく呑気に笑ってられるよな? 今、兄貴がどうしてるか、あんた、何も知らねぇのか?」


できるだけ平静を装ったつもりだが、どうしても声が荒立ってしまう。



けど窪田は、その微笑を微塵も崩すことなく穏やかに返した。


「龍のこと、報告は受けてる。だからこちらのお嬢さんに、あんな遠方からわざわざ出向いて貰った」


言ってチラとみゆっちに視線をやるも、すぐに俺に視線を戻し続けた。


「腹を立てて、だれかれ構わず当り散らして、それで龍が助かるなら、俺だって迷わずそうするさ」


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