ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「笑わない。誰も笑わないよ。大丈夫」


そう言って、みゆっちは俺の背中を優しくさすってくれた。



みゆっちは、俺と同じぐらい――もしかしたら俺以上に辛いかもしんねぇのに。そう思ったら、情けなくて余計に泣けた。



思う存分泣いたら、ほんの少しだけ気持ちが軽くなった。


ゆるゆるとみゆっちから離れれば、それを待っていたように窪田が立ち上がった。



「好きなだけ泣け、皆人。けどな、龍は死なないし、死なせない」


相変わらず根拠もなく自信満々で窪田が言う。



「忘れたか? あいつは――

不可能を可能にする男だ」


そして俺もな、と。躊躇いもせず言い足して、窪田は無駄に色気を放つ笑みを見せた。



「もう泣かねぇよ。それに、あんたのことなんか、聞いてねぇし」


すかさず憎まれ口を返す。


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