ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「女は?」

谷口さんが抗体保持者の少女のことを聞く。



「死んだよ。蜂須賀にやられた」

俺が答えれば、「そうか」と、谷口さんのリアクションは酷く素っ気ない。

またイラッときた。



「それだけ? 他になんか言うことねぇのかよ? なんでここにみゆっちが居るか、谷口さん、わかんねぇの? 気の利いた言葉一つでもみゆっちに言ってみろよ」



谷口さんはソロリとみゆっちに視線をやり、

「龍は……」

尋ねるというより、独り言のように呟いた。



「感染したよ。少女が撃たれた時、兄貴は傍に居たんだ。返り血を思いっ切り顔に浴びたんだよ」


怒鳴り散らして教えてやったけど、谷口さんは表情一つ変えなかった。


どういうことだよ? 何なんだよ、一体?


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