ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「ええ、私は何も……」

その声、表情にも戸惑いが見え隠れする。女の方も何か知ってるっぽい。



仕方ねぇ、こっちの情報も差し支えない程度に提供するか。


「容疑者はわかっています」


「えっ? 誰なんですか?」

すかさず間宮くんが食い付いた。核心部分は、本当に何も知らないらしい。



「それは今は言えません」


どうして、と。不満げに小さく漏らして、抗議の目を俺に向ける間宮くん。



「ですが、彼は殺人兵器を所持しています」


「男、なんですね?」


間宮くん、いちいちうるさい。最後までしゃべらせろって。



「はい、まぁ……。で、その殺人兵器をここでは使ってない。ということは、真の標的は殺された三人じゃない。彼は今、真の標的の元へ向かっているか……あるいはもう既に辿り着いているか。

第一の殺人は止められなかった。それはこちらの失態です。だからせめて、第二の殺人を何としてでも阻止したい。

ご協力願えませんか?」


祈る気持ちで訴えた。



恐らく真の標的は施設責任者だ。あの三人の中に施設責任者はいない。児童虐待に関わった古株たちには違いないだろうけど。



簡単には死なせねぇ。坂下も、そしてもちろん、子どもたちの未来を奪った変態野郎も。


< 258 / 304 >

この作品をシェア

pagetop