ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「脅迫電話が掛かってきたんです」

女の方が意を決したように口を開いた。



「森本先生!」

すかさず間宮くんが声を張り上げてそれを制す。


子どもたちはその突然の大声に驚き、ビクッと身体を跳ねさせ一斉に彼の方を見た。



「ダメだ、森本先生」

今度は静かに諭すように言い、首を左右に小さく振った。



「でも……やっぱり刑事さんに話した方がいいんじゃ……。三人も殺されてるのよ?」


「何ですか? やっぱり何かご存知なんですね? 話してください。我々には守秘義務があります。捜査に無関係なことは一切口外しません」


尋問のターゲットを女の方だけに絞って、説得を試みる。

間宮くんは無駄だ。絶対吐かない。年齢的に児童虐待の共犯の可能性は薄い。とすると、買収されてるとか脅されてるとかその辺りか。



「この施設が無くなったら、この子たちはどうなる?」

言って間宮くんは、傍にいる子どもたちを見回した。


ああ、ガキの心配ね。



「バラバラにされて、無理矢理どっかの施設に押し込まれるでしょうね。てかさ、そこまでしゃべっといて、『僕は話しません』を押し通せるとでも?」


「僕は何も知りません」


「押し通すんですね、わかりました。じゃあ、森本さんにお聞きします。さっき言ってた脅迫電話って? 知ってること全部、話してください」


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