ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「脅迫電話について、お話し頂けますね?」
間宮くんに向かって、もう一度尋ねた。
「実際に見聞きしたのは森本先生です。僕は彼女から話を聞いただけで……」
間宮くんが戸惑っていると、
「私が話します」
と、森本先生は強い意志の籠った声で、はっきりと言った。そしてほんの少しの間を置いてから、ゆったりとした口調で話し始めた。
「先週の金曜日だったと思います。施設に電話が掛かってきたんです。最初に取ったのは私でした。
電話の相手は名を名乗らず、『館長の佐村さんをお願いします』とだけ言いました。
もちろん、お名前を尋ねました。確認しないまま取り次ぐと、館長にもの凄く怒られますから。
相手は特に気分を害する様子もなく、『卒業生のりょうとって言えばわかるから』と答えました。
感じのいい優しい声だったし、きっとここから巣立った人が、懐かしくなって電話してきたんだと勝手に思いました」
「でも違った」
先を促す意を込めて、相槌代わりに口にした。
「ええ。そのままを伝えたら、途端に館長の顔色が蒼ざめて……。たまたま事務所には、三木さんたち三人も居て、彼らもまた同じように酷く動揺していました。
理由は全く見当もつきませんでしたけど、ただごとではない雰囲気だったことは確かです」
間宮くんに向かって、もう一度尋ねた。
「実際に見聞きしたのは森本先生です。僕は彼女から話を聞いただけで……」
間宮くんが戸惑っていると、
「私が話します」
と、森本先生は強い意志の籠った声で、はっきりと言った。そしてほんの少しの間を置いてから、ゆったりとした口調で話し始めた。
「先週の金曜日だったと思います。施設に電話が掛かってきたんです。最初に取ったのは私でした。
電話の相手は名を名乗らず、『館長の佐村さんをお願いします』とだけ言いました。
もちろん、お名前を尋ねました。確認しないまま取り次ぐと、館長にもの凄く怒られますから。
相手は特に気分を害する様子もなく、『卒業生のりょうとって言えばわかるから』と答えました。
感じのいい優しい声だったし、きっとここから巣立った人が、懐かしくなって電話してきたんだと勝手に思いました」
「でも違った」
先を促す意を込めて、相槌代わりに口にした。
「ええ。そのままを伝えたら、途端に館長の顔色が蒼ざめて……。たまたま事務所には、三木さんたち三人も居て、彼らもまた同じように酷く動揺していました。
理由は全く見当もつきませんでしたけど、ただごとではない雰囲気だったことは確かです」