ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
佐村館長の自宅へ行ったが、ヤツは不在だった。彼の妻だと名乗る中年女性が、整形外科へ行ったと教えてくれた。


用件はわざわざ伝えなかった。そんな暇もないし、家族を無駄に混乱させるのは俺の仕事じゃない。



整形外科『桃山クリニック』に通院しているという間宮くん情報は本当だった。


公用車を走らせ、迷わず『桃山クリニック』へ向かう。



窪田には一応報告したが、『待て』の指示は出なかった。『待て』と言われたところで待たねぇけど。

窪田もそれを分かってるから、敢えて何も言わなかったんだと思う。



『桃山クリニック』は個人病院にしてはデカい。ドッシリとした四角い建物で横に長い。しかも三階建て。建物の前は広々としたコンクリートの駐車場。


整形外科って、そんなに儲かんの?



自動ドアをくぐれば、ホテルのロビーみたいな待合室。

三列に並んだ横長のソファーには、数人の患者がまばらに腰掛けており、雑誌を読んだり、テレビを観たりして待ち時間を過ごしていた。その中に、坂下の姿はない。



入ってすぐ左手にある受付へと足を進める。


事務服を来た受付の女性に身分証を見せ、手短に用件を告げた。

「危険人物が侵入している可能性があります。ただちにここにいる全員を避難させてください」


「えっ?」


状況が全く理解できないらしく、事務員は口をポカンと開けて固まった。


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