ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】
「リハ室以外は任せます」

この状況、俺一人で何とかするなんて到底無理だ。一般市民に頼るしかない。


坂下は佐村と共にリハ室に居る。確証はないけど、そう考えるのが一番妥当だろう。



事務員がコクッと力強く頷くのを確認し、俺はすぐさま通路を奥へと進んだ。



リハ室のドアがやけに重たく感じた。スライドドアをゆっくり開ければ、そこは何の変哲もないリハビリ室。


ざっと部屋中を見渡せば、不穏な空気を纏った二人が嫌でも目に留まった。



ビンゴ。

俺の勘は絶好調。この勢いで、一気に事件解決といきますか。



嘘だよ。無理だよ。全然自信ねぇよ。泣きてぇよ。



腰に電気かなんかを当ててるっぽい佐村。その傍らに立ち、冷ややかにヤツを見下ろして、何かを呟いてる坂下。


二人がいるのは部屋の奥だ。坂下を捕らえるには距離があり過ぎる。



「坂下!」

大声で名を呼んだ。


策なんかない。こういう時は本能のままに動くのみだ。



坂下がゆっくりとこちらを向く。


「またお前か……。一番出来の悪いヤツが、ここまで辿り着くのは予想外だったわ。それとも――

――お前はそっちの捨て駒か?」


言って坂下は、不敵な笑みを浮かべた。


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